少子高齢社会の日本では、企業の人手不足問題が激化することは避けられません。
そんな中、企業が頭を悩ませているのは「社員の離職」です。
①新人・若手社員の離職の現状
大卒者の約3割が就職後3年以内に離職する傾向がここ数年続いていますが、厚生労働省が2020年10月30日に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2017年3月卒業者の状況)」によると、大卒者の就職後3年以内の離職率は32.8%で、前年より0.8ポイント悪化しているそうです。
就職後3年以内の離職率を事業所別にみると、規模が小さい企業ほど今後どんどん厳しい状態になっていくことが分かりますよね・・・
新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html
業種別にみると、
新型コロナウイルスの影響をかなり受けた「宿泊業・飲食サービス業」が最も多く、次いで多かったのが旅行業、葬儀業、結婚式場業などの「生活関連サービス業・娯楽業」でした。
新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html
では、どのような理由でこれらの離職は発生しているのでしょうか?
https://at-jinji.jp/blog/28886/
2019年の調査結果ですが、ネガティブな理由により離職するひとが65%と半分以上を占めています。
ネガティブな理由で離職した人は、入社時点でネガティブな状態となっていたのでしょうか?
実は、志望度が高かった企業に入社しても、離職してしまうひとの割合が68.6%と高いのです。
行きたかった企業に入社できたからといって、離職しないとは限らないと考えられます。
https://www.excite.co.jp/news/article/Prtimes_2019-08-03-22432-32/
②社員の離職によって起こる損失
新卒社員が3年以内に離職してしまった際の損失額はなんと、1500万円以上になってしまいます!
これだけでも大きなダメージですが、離職率が高いとブラック企業のレッテルを貼られてしまうなど、風評被害にも繋がってしまいます・・・
【参考】
https://mitsucari.com/blog/turnover_problem/
離職による企業への損害に関して、他の記事で詳しく解説していますので、こちらもチェックしてみてください!
『【人事にまつわる課題】離職者が多い』
③離職には研修・教育が関わっていた?
離職したいと思った理由の具体的な内容を見てみると、
一番多い理由が「聞いていた条件(給与やお休みなど)が違う」、次いで「人や社風が合わない」と、入社する前にしっかりと本人に伝えていれば防ぐことができたかもしれない理由でした。
驚きなのが、「研修がきつい」「研修がしっかりしていなかった」と研修に関する理由が2つもあることです。
どんな研修だったら離職の原因にならないのでしょうか?
https://bizspa.jp/post-158095/
厚生労働省が行った「職場の働きやすさ・働きがいに関するアンケート」調査における「人材育成」の項目では、特に「自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修」を実施されている企業では、それらが実施されていない企業と比べ、「働きがいがある」又は「どちらかといえば働きがいがある」と回答する割合が 20%ポイント以上高いという結果になりました。
https://www.mhlw.go.jp/chushoukigyou_kaizen/investigation/report.pdf
20代、30代それぞれの43%が、3年以内の退職理由としてあげているのが「やりがい・達成感を感じない」というデータもあります。
入社前に「どんなスキル・知識を高めたいのか」ヒアリングし、実際に希望に応じた研修ができるのかどうかを検討、伝えることで早期離職を低減させることができるかもしれません。
https://www.careermart.co.jp/blog/blog/archives/8459
④新人の離職を防ぐ研修内容
では、新人が辞めないためにどんな研修をしたらいいのでしょうか?
新人に対する研修の内容を「社会人としての心構え」「会社への帰属意識」「セルフマネジメント」、
また、新人に接する先輩社員や上司への研修の内容を「上司としての準備」「マネジメント」に分けてまとめてみましたので、是非参考にしてみてください!
【離職しない!新人研修】
新卒入社の社員は、理想と現実のギャップにより早期離職してしまうことが多いです。
まずは、学生気分から社会人マインドに変える研修や基本的なマナー研修、業務に必要な内容の研修を行い、社会人としてのスタートがスムーズにいくようにしましょう。
入社した会社の一員であることの意識、会社自体の理解、自分に期待されていることを認識することで、
会社への愛着を持ったり、自発的に行動ができるようになったりします。(エンゲージメントの向上が理由です)
仕事の進め方、向き合い方を自分自身で見つめ、改善・維持していくことで、モチベーションを維持して成果を出せたり、自律的な行動ができるようになったりします。
そして組織の成長にも繋がっていきます。
【離職させない!先輩社員・上司研修】
社員のウェルビーイングやエンゲージメントにはマネジャーの存在がとても大きく影響します。
「問題や悩み事を抱えていても上司に相談できない」、「教えてもらったことや指示の意味がさっぱり分からない」、「相談してもアドバイスもなにもくれない」。こんな上司では、新入社員も育ちませんし、不安を感じやすくなります。。
また、先輩社員・上司自身も、部下ができたり、チームのリーダーを任されるようになると、部下への接し方が分からなかったり、チームをまとめられないという悩みを抱えてしまうことがあります。
上司としてやるべきこと、期待されていることなどの基礎をしっかり学ぶことで、部下のケア、成長促進もしっかり行うことができます。
上司として必要最低限のことしかしないでいては、部下のさらなる成長には繋がりません。
部下の成長実感を促したり、強みを活かしていきいきと仕事ができる環境をつくったり、本人に適切な目標設定とフィードバックを行ったりなど、より良いマネジメント、組織づくりができるようになれば、部下に「この会社に入ってよかった」「自分もさらに上を目指したい」という気持ちを持たせることができるかもしれません。
上記の研修内容が参考になれば幸いです!