昨年突然流行し始めた新型コロナウイルスは企業の採用活動にも影響を及ぼしています。
これまで通り学生と接することは難しく、突然のオンラインでの対応を迫られる中、学生をグリップすることに課題を抱える企業もいるのではないでしょうか?
①採用活動の動向
これは文部科学省による2019年の学校基本調査の結果ですが、78.0%とほとんどの学生が大学卒業後に就職活動を行っています。
21卒もほとんどの学生が社会人を目指すことが予想されます。
https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_chousa01-000003400_1.pdf
その一方で、新卒採用市場の状況はどうなっているかというと、
21卒学生は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により、2020年6月時点での大卒有効求人倍率は1.53倍と過去5年間で一番低い状況となりました。
まだまだ学生が優位の売り手市場が続いているようですが、やはり採用活動を縮小する企業がでてきていますね。
https://www.neo-career.co.jp/humanresource/knowhow/b-contents-newgrad-doukou2021_200907/
21卒学生の就職活動は、
1月に新型コロナウイルスの流行が始まったこともあり、20卒と比べると活動開始が若干遅いようでした。
7月になっても就職活動を続けている21卒学生は47%、20卒学生は44.9%でした。
https://www.recruitcareer.co.jp/news/20200707cv7ho.pdf
企業側においても、採用活動終了予定時期が「大幅に遅れる見込み」もしくは「やや遅れる見込み」と52%が回答しています。
新型コロナウイルスへの感染を警戒して採用活動の動き出しが慎重になったり、企業側も選考時期を引き延ばしたりと色々な策を講じたため、全体的に採用活動の終了までが長引いたようです。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/kigyou.kokuhou202004.pdf
②より重要になるグリップ力
マイナビによる20卒学生の調査データでは、内定者1人を獲得するために必要な1次面接受検学生数は全体平均で6.6人、エントリー数は49.0となっています。
当然ですが、複数の内定者を獲得したい場合はより多くのエントリー数が必要となります。
また、21卒学生は、20卒学生と比べて「適性検査や筆記試験を受けた社数」「エントリーシートを提出した社数」「面接を受けた社数」「内々定を得た社数」がいずれも倍以上になっており、去年よりも活動が活発になっていることが分かります。
これは、選考のオンライン化が進んだことで1回の選考ごとに会社に訪問する必要がなくなった結果、短期間でより多くの企業と接点が持てるようになったからであると考えられます。
つまり、選考のオンライン化が進んだことで、学生は例年よりも多くの企業群の中から比較・検討して入社する会社を決められるようになったということです。
https://saponet.mynavi.jp/release/student/monitor/2021jul/
また、内定辞退率は去年と比べると低くなってはいますが、60.6%と未だ高い状態です。
少子化が進む日本では、採用できる応募者の数がどんどん減っていき、他企業との人材の取り合いが進むことは間違いありません。
これらのことから、例年以上に学生からの内定承諾を獲得しづらい状態となっており、内定者を自社にグリップしておく力がより必要になっているとわかります。
https://www.chaku2.jp/column/1276/
すでに、ここ4年間の採用において「質は満足・量は不満」とする企業は毎年36%以上でした。
特に中小企業では、人材不足を感じている企業が70%以上という調査結果もあります。
https://saponet.mynavi.jp/release/enterprise/naitei/2021kigyo-naitei/
https://bowgl.com/small-and-medium-sized-enterprises-shortage/
③選考辞退の実態
学生に選考を辞退されないためにグリップ力を高めることは重要ですが、選考辞退の実態はどうなっているのでしょうか?
エン・ジャパンの調査によると、一番多かった選考辞退のタイミングは、面接前日・当日の「ドタキャン辞退」でした。
https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/
では、学生が選考をドタキャンする理由はなんでしょうか?
1位は「体調が悪かった、事故などの不測の事態が起きたため」でした。
2位は「ネット上で良くない評判や噂を見た」であり、ネット社会が加速する現在ではネットの風評被害などは避けられない状態にあることがうかがえます。
また、一人の学生がネットに書き込んだことはすぐに広まるので、学生への対応は一層気を付けなければいけません。もちろん人事担当者だけではなく社員全員が学生に見られている対象ですので、社内の協力を仰ぐことも必要です。
3位は「他社での選考が通過した・内定が決まった」でした。
https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/
面接後・内定後の辞退理由で一番多いのが「面接で詳しく知った仕事内容が希望と合わなかった」であり、次いで多かったのが「面接で詳しく知った勤務地、給与などの条件が希望と合わなかった」でした。
実際に面接を受けてギャップを感じて辞退されてしまうより、応募前または、面接前に応募者が気になる情報を提示できる仕組みを作る必要があります。
また、辞退理由でよくあるのが「社内の雰囲気がよくないと感じた」、「面接官の行動や態度が悪かった」と事業内容や勤務体制ではなく、採用担当者からしたら思いもよらないような理由です。
学生は真剣に企業選びをしているので、企業のあらゆるところを見て判断しています。社内の雰囲気をありのままに見せることは大切だが、よくない印象を与えることは避けるように対策しましょう。
https://partners.en-japan.com/special/old/160106/2/
https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/
④選考辞退の対策
では、選考辞退を防ぐために他社ではどんなことを行っているのでしょうか?なにをすればいいのでしょうか?
【新型コロナウイルスが流行している現状におけるフォロー】
あさがくナビが行った新型コロナウイルス下での調査では、下記のような結果になりました。
https://service.gakujo.ne.jp/data/survey/questionnaire202007-10
やはり感染の危険性があるため、説明会や選考をWeb開催に変更したり、中止・延期とした企業が多いです。
それでも学生にとっては初めての就職ですので、実際に会社に行って雰囲気を見たい、対面で社員に会って話がしたいと思いますよね。
学生から「対面」の機会を求められたときに採用担当者はどうしたかというと
一番多かったのが、「感染防止対策をしたうえで基本的には受け入れる」(56.6%)。
次いで多かったのが「状況(地域やそのときの感染状況)に応じて受け入れてる」(28.9%)でした。
学生の希望にはできる限り答えてあげたいという企業が多かったみたいです。
https://saponet.mynavi.jp/release/enterprise/naitei/2021kigyo-naitei/
実際に企業が実施した対面での面接方法の変更内容では、
除菌スプレーの設置や衛生管理を徹底する、体調不良者の面接日程を調整する、グループ面接などを取りやめ個人面接に切り替える
などでした。
【平常時でも行っているフォロー】
こちらは新型コロナウイルス下ではなく、平常時に内定者に行ったフォローの調査ですが、
入社意欲が高まったフォロー内容は「社員との懇親会」「内定式」「社内や施設などの見学会」「人事担当者との懇親会」などがありました。
人事・社員からの定期連絡や職場の見学会は選考途中でも行えます。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/naitei201705.pdf
ヒューマンブリッジで、選考開始前、選考途中、毎選考後それぞれの時点でできるフォローをまとめました。
こちらを参考にしてみてください。