【人事にまつわる課題】1on1の導入をしたいが、マネージャー陣にノウハウがない

  • 2020.10.1
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【1】1on1に関連するデータ

出典:https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=255

2020年HRプロの実施した調査(331社回答)によると、76%の企業が「社内コミュニケーションに課題がある」と回答していることがわかりました。

社内コミュニケーションが活性化することで、共通の目的を持ち、全員が発信者になることで情報共有も活性化し、個人の適性に応じた業務の割り振りや、働きやすい職場環境の整備に必要な情報を吸い上げることもできます。

職場が社員の望む環境に変化すれば、結果として社員定着率の向上にもつながりますが、多くの企業ではなんらかの原因で円滑とはいいがたい状態のようです。

「コミュニケーションが阻害されている要因は?」という設問への回答は、
管理職のコミュニケーション力が48%、組織風土や社風、社員のコミュニケーション力が40%、経営層のコミュニケーション力31%、コロナウイルスの流行によって加速したオンライン化に伴う対面コミュニケーションの減少が24%といった結果がでています。

理由の1つとして、従業員が求めているコミュニケーションと管理職・経営者層の考えているコミュニケーションが時代の推移とともにずれてきていることが考えられます。

会社が優秀な人材を採用するだけではなく、個人も自らのライフプランに合った会社を選択することが当たり前となってきた現在、個人のキャリアプランと会社・事業の将来性とのマッチング度合いを示したり、1on1を通した成長・承認の機会を増やすことが部下のモチベーションの維持や会社への帰属意識を高めるために求められるようになってきました。

特に管理職の場合、人材不足が加速する中でこれまで以上にプレイングマネージャーとして結果を出すことが求められる傾向にあります。
そのため、物理的に部下とじっくり話す時間をもうけることが正直難しいのが実状ですが、特に上司・部下間でのコミュニケーションの改善は先のデータからも半数近く阻害要因になっていると指摘されている背景もあって1on1に注目が集まっており、実際に1on1の導入に興味を持っている、あるいは導入している企業は83%にも上ります。

出典https://moushikomi.businesscoach.co.jp/entry_ml/1on1_questionnaire_report.pdf

しかし、形式的に1on1を導入したとしても、成果にすぐに結びつくとは限りません。なんなら、パワハラの温床になってしまったなんて相談もありました。
1on1を効果的に機能させるには、上司側の傾聴力、フィードバック力、質問力などが重要な要素として挙げられています。
性格の合う・合わないではなく、本当に部下のためを想ったコミュニケーションができているかが重要なのです。

【2】1on1がうまく運用されていない要因

◆人事目線で考えられる原因

・日々の業務に追われて実施が形骸化している
・マネージャーや経営陣が「1on1は必要ない」と考えている
・人事と現場のマネージャー層で1on1で話されている内容の共有ができておらず、組織の課題解決につながらない
・1on1ミーティングを実施するにあたって必要な傾聴スキルやコーチングスキルの向上に関するサポートができていない
・導入が目的となり、実施内容や状況などは現場に任せっきりにしてしまっている

◆上司目線で考えられる原因

・そもそも定期ミーティングとの違いを理解できていないまま実施してしまっている
・部下からのアジェンダがないと何を話していいのかわからず、内容に困っている
・なぜ今までの個人面談や進捗報告ではだめなのかが、共有されていない
・1on1ミーティングの実施頻度が少なすぎる
・「部下のための時間」との認識が薄いため、上司が自分の話ばかりしてしまい部下の心理的安全性を確保できていない

◆部下目線で考えられる原因

・自分の業務に関する課題や進捗状況を把握できていない、上司に正確に伝えることができない
・ミーティング内容が不平不満ばかりになってしまい、どういった改善方法を上司に採ってもらいたいのかを伝えられない

【3】1on1がうまく運用されないと起こりうるリスク

7割以上の従業員が職場でストレスを抱えながら働いています。
その理由のほとんどが、上司や同僚との人間関係がうまくいっていないこと、仕事に対して自分なりの意義づけができていないことです。

出典:https://mitsucari.com/blog/relations_example/

1on1の導入理由の3割以上が、会社へのエンゲージメント向上を期待してのものです。
エンゲージメント上位25%の企業は、下位25%の企業と比べて、生産性・売上・利益が高いことが調査で示されています。
ちょっとしたコミュニケーションの量や質の変化で改善できるところが、この状態を放置あるいは1on1などの施策の実行が効果的に進んでいないことで、生産性は低下し、かけたコストに見合わない教育効果、最悪の場合は離職につながり、会社の損失の増大といった結果を導いてしまいます。

出典:https://moushikomi.businesscoach.co.jp/entry_ml/1on1_questionnaire_report.pdf

【4】1on1をうまく運用するためのヒント

1on1をうまく運用するために、実際相手と何を話したらいいかわからない、という方もいると思います。
そうならないために、まずは事前準備として相手が良かったことや悪かったことを振り返り、
話したいテーマを上司に伝えておくことが大事です。
次に、実際に話す際には、相手との距離感を縮めるステップを踏みます。
そのためには、ベーシックスキルとして、観察力や傾聴力、承認力が必要となります。
さらに、相手に働きかけるうえで「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」という3つの方法があります。
これらの中で特にスキルが求められるのはコーチングで、相手の価値観を引き出すために、部下が自分の考えや思いに気づくような質問を上司側が投げかけていきます。

仕事の目標に結び付けるために、現状の課題とするところから入るのではなく、相手が理想とする状態に向けた大きな質問をすることで、思考の枠を広げ、動機づけにもつながります。
そこから具体的な課題設定をし、解決策に向けたアクションまで決めていくのです。

相手の自発的な行動を促すためには、相手に気づきを与える質問をする事が大事です。
現状を整理し、1年後の成功イメージを思い浮かべてもらい、心理的ハードルがないかを探ります。

出典:https://1on1engagement.com/faq

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