【人事にまつわる課題】離職者が多い

  • 2020.9.28
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
■平均離職率は11~12%前後

会社によって異なりますが、平均値からどれほど離れているかは1つの指標となるかもしれません。平成30(2018)年の1年間の平均離職率は14.6%、正社員の離職率は11.3%でした。

様々なメディアやSNSで離職率と言っているのはアルバイトやパートタイム雇用者も含めた1年間での離職率のことを指しています。例年、正社員だけの離職率は11~12%前後を推移しています。

※離職率=年間の離職者数÷1月1日に勤務している人数×100

出典元: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/kekka_gaiyo-01.pdf

離職率に関係なく 、単純に規模の小さい会社ほど1人の離職が引き起こすデメリットは大きくなります。

■小さい会社ほど、社員はよく辞めていく

以下は、新規入社社員のうち、3年後も残っている社員の規模別比率です。

出典元: https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556488.pdf

だでさえ従業員規模の大きくない会社における離職者発生は損失なのですが、従業員規模の小さい会社ほどに統計的には離職者の割合が多いようです。
理由としては、規模の小さい組織ほどに①新規入社者にかけられる社内のリソースが少ない②カルチャーマッチしなかった時(心理的安全性の低下、ワークエンゲージメントやモチベーションの低下、居場所のなさ)のリカバリーがしづらいといったことが考えられます。

離職率が高い企業にはどんな影響があるのか

■金銭的損失

出典元『エン・ジャパン』なぜ人はやめるのか?退職を科学する

■新卒が入社3年で辞めてしまった場合

採用経費が人事の稼働時間も含めて90万円、1年辺りの給与を280万円と見積もると3年間で840万円

働いて会社に還元できた部分もあるのでしょうが、即戦力とはいかない1年目、2年目は給与に見合った仕事ぶりを発揮するのは難しいですから払った給与は企業側の損失と考えられます。

その他にも教育した先輩社員の手間、教育の間に生産できなかった利益、教育研修費などを含めると損失額は1500万円以上と推計されます。

■社内のモチベーション低下

中途入社してきてすぐ辞めてしまう。あるいは、新卒が3年以内に辞めてしまう。
⇒「フレッシュな目線で会社のおかしさに気が付いたのか、この会社の将来性について思うことがあったのか、今までのいろいろなことを教えた時間はなんだったのか」、などと周りの社員は考えてしまいます。
また、中途入社の方はキャリア採用である程度のポジションに最初からなっていたりすることが多く、辞めてしまうことで負担が増えたり残る社員のストレスは増大しやすくなります。

その結果、連鎖するように離職者が増えることも実際によく起こってしまうことです。

■企業イメージの悪化

離職者が多い企業」と聞くとよいイメージにはつながりません。
そのまま企業の商品やサービスのブランドイメージも毀損し、業績が悪化することにもつながりかねません。

■採用難易度のさらなる上昇

離職率が高いと分かっている企業の場合、求職者からすると労働環境が悪いイメージがあります。労働環境が悪い、仕事がハードであるといった認識をされるため、そのハードさに見合う報酬があったり、スキルアップができる場でなければ応募者の獲得自体が難しくなってしまいます。

これから人手不足が深刻化する時代に、採用することが難しくなってしまうと、企業としての競争力にも大きく影響するため、離職率が高い状態である状態はなるべく改善していくべきであると考えられます。

社員の退職を防ぐためのヒント

効果的な対策を実施していくために、主要な課題点がどこにあるかを特定する必要があります。

■7割以上の早期離職者が、採用後1,2年以内に離職する

出典元: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000177659.pdf

新卒で3年以内に離職した大卒者のうち、採用後2年以内に離職している割合は71.1%(=入社後2年以内の離職者 22.9% /3年以内の早期退職者32.2%×100)

高卒出身者の場合は、73.4%が採用後2年以内に離職しています。

※平成26年のデータを基に算出

入社後1,2年以内に離職対策を実施することが重要になりそうです。

■本当の退職理由は、カルチャーミスマッチ(人間関係、社風、評価・人事制度で48%)

出典元: 退職理由のホンネとタテマエ 会社に伝えた退職理由は「家庭の都合」、実際は…? -エン・ジャパン株式会社-

離職理由の最も多いものが「人間関係」の25%、次に「評価・人事制度」の12%、「社風や風土」、「給与」、「拘束時間」の11%と続きます。 会社の理念やバリュー、経営方針で、採用する人物像が変わり、社員の評価ポイントや人事制度、マネジメント体制が変わってきます。
給与や待遇への不満はもちろんですが、それよりもむしろ数字では見えづらい部分の会社財産が離職率に影響を与えているようです。

出典元『@人事』2019年春入社の新入社員へ緊急アンケート

こちらの19卒入社者に対するアンケートでも「休みの多さ」や「福利厚生」を除けば、「人間関係」「やりがい」社風とのマッチ」が主要な要因として挙げられています。

関連記事

ピックアップ記事

  1. 2023.5.23

    2023/7.7[金] 50年先を生き抜くための学び方

    変化し続ける私たちの働き方皆さんは「2025年の崖」をご存知でしょうか?2018年に経済産...
  2. 2023.5.23

    あなたの会社でもすぐ実践できる内定者の心を掴むエンゲージメントの極意大公開!!

    あなたの会社は「エンゲージメント」に積極的に取り組んでいますか?経団連の大橋徹副会長...
  3. 2023.4.6

    【人事相談の予行練習!】人事でそれ正解!

    「すみません、相談があるんです…」ある日突然あなたの会社の従業員が落ち込んだ様子で人事相談...