【解説】今日からできるマインドフルネス!Google,Yahoo,Apple,メルカリなどが導入する従業員エンゲージメント向上施策

  • 2020.11.10
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最近耳にすることが多くなった「エンゲージメント」や「マインドフルネス」、、、聞いた事はあるけど何のことかは分からないという方も多いのではないでしょうか?
近年、GoogleやFacebookでも取り入れられ、ビジネスシーンにおける自己認識力や人間関係力などを高めるとして注目を集めています。

実はこのマインドフルネスは、エンゲージメントを高める上でとても効果的な実践方法なのです!

ここでは、そのエンゲージメントやマインドフルネスについての解説とその関連性について説明していきます。

目次

エンゲージメントとは

■エンゲージメントの意味

「エンゲージメント(engagement)」とは、「従業員の会社に対する愛着心や思い入れ」といった意味になります。
基本的にこの感情は、会社側の努力があってこそ、従業員側に生じるものです。
そのため、最近では「個人と組織が対等な関係の中で、双方の成長に貢献しあう関係」を指すと言われています。

このエンゲージメントが高い企業や組織では、従業員に愛着心があるため、従業員一人ひとりが企業や組織を信頼し、事業・自分自身の成長に向けて意欲的に取り組むという特長があります。
さらに、経営層やマネジメント層も部下と対等に向き合い歩みを進めるため組織力が強まり、ひいては業績の向上が期待できます。

日本でこのエンゲージメントが注目され始めたのは、米ギャラップ社が実施する「エンゲージメント・サーベイ」で出た結果が背景にあります。
2017年に発表された結果によると、日本にはエンゲージメントが高くやる気に満ち溢れた社員は全体でたったの6%しかおらず、調査対象の139カ国中、132位という驚きの結果でした。
エンゲージメントは生産性や業績と相関があるにもかかわらず、総じて日本の企業のエンゲージメントは低い状態が続いています。
近年はこれを向上させるべく、経営者や人事・採用担当者の間でいかにエンゲージメントを高めるかについての議論が始まっています。

■エンゲージメントを高めるメリット

メリットは大きく分けて4つあり、顧客満足度の増加、モチベーション向上、生産性向上、離職率の低下が挙げられます。

◆顧客満足度の増加

エンゲージメントが高い企業では、従業員の仕事に対する当事者意識や熱意が他の企業よりも高いという特徴があります。
職場内の問題に対して自ら進み出て解決したり、議論の場において自ら意見を発信したりと、事業・自己の成長に向かい活発に動く風土が醸成されます。
その結果として、顧客満足度は従来よりも10%高まります。

◆モチベーション向上

エンゲージメントは、従業員自身が自分に対する期待を感じ、やりがいを持って仕事に接することが出来ているという実感がある状態から生まれていきます。
このエンゲージメントが高まることにより、従業員は自らの仕事に対するやりがいを深めていくことができ、モチベーションが向上します。

◆生産性向上
エンゲージメントが高い状態とは、従業員がその環境や労働条件に満足しているだけではなく、企業のビジョンを理解し企業と従業員の双方が理想として掲げる成長のベクトルがすりあわさった状態を指します。
この状態では、組織や企業への愛着が強まることで、業務一つ一つに対する意識が変わり、その積極的な姿勢の積み重ねによって生産性の向上が期待できます。

上図にもある通り、エンゲージメントが高まると生産性はなんと21%も向上します。

◆離職率の改善

従業員のエンゲージメントレベルと離職の関係性
引用:厚生労働省 労働政策研究「上質な市場社会」に向けて~公正、安定、多様性~

上図のように、エンゲージメントが高い「非常に意欲的な従業員」約60%が「退職の予定なし」であることに対し、エンゲージメントが低い「意欲的でない従業員」では約20%と、エンゲージが低まれば退職・転職を考える率が高まります。

エンゲージを高めることで人材流出を防ぐことができ、定着率の向上が期待できるのです。

マインドフルネスとは

■マインドフルネスの意味

マインドフルネスとは、今この瞬間”に集中している心のあり方」のこと。
雑念がなく、リラックスして今この瞬間に目の前のやることだけに集中している状態。
無理をしているわけではなく、ストレスもかかっていないため、自分の力をストレートに発揮できる状態です。
マインドフルネスとは、そんなリラックスした状態のことや、その状態を目指すプロセスのことを指します。

基本的に、情報過多な現代にいる我々はそんなリラックスした状態とは程遠い場所にいます。
想像してみてください。いつも何か頭の中で考え事をしていませんか?
「明日のスケジュール・不安なこと・気がかりなこと・他人からの評価・昨日に起きたこと」など、ずっと頭の中でずっと考え続けているはずです。
つまりは、「あれこれと考えすぎ」な状態が続いているわけです。
ケンブリッジ大学のBarbara Sahakian教授の研究によると、人は1日に2万回から最大で3万5000回の決断をしているそうです。

人間の体は3次元の動きをしますが、脳が考えるものは未来や過去という時間軸を含む4次元のもの。
体と脳にはギャップが有るにも関わらず、1日に3万5000回も決断を下しているのです。
そんな状態だと、段々と混乱していまやるべきことかわからなくなる、急に発生した出来事に対応できなくなるなど、パフォーマンスが段々と下がっていきます。

マインドフルネスとは、このような状況を改善するためのものであり、実践した結果、不安や余計なことが頭から消え精神的に安定した自分になることができるというものです。
そんなマインドフルネスですが方法はいくつもあります。
その中で、最も良く用いられるのが瞑想です。
瞑想と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?
本来は古くから禅やヨガなどで行われていたものですが、怪しげな宗教や熱狂的な何かを思い浮かべてしまうかもしれません。
マインドフルネスに用いられる瞑想はそこから宗教的な要素を取り除き、誰でも気軽にできるように作られています。
この「誰でも気軽に」始められることが大きな特徴と言えます。

■マインドフルネスの導入例

近年ではこのマインドフルネスが、企業や有名人の間で話題となっており、様々な場所で取り入れられています。

Googleでは社内に瞑想ルームを設置したり、マインドフルネスに関する講座を開設。その人気は絶大で、最大で受講まで6ヶ月待ちになるほどです。
他にもGoldman SachsやAppleでも同様の講座が開かれ、瞑想ルームの設置も行われています。
日本ではYahoo株式会社、名刺管理のSansanやメルカリなどで瞑想(マインドフルネス)プログラムが人気を博しています。
その取組は、社内の芝生スペースで瞑想を実施したり、1日15分決まった時間に瞑想をしたりと様々ですが、どの企業でも参加者の8割近くがその効果を実感し、リーダーシップの発揮やモチベーションの向上に影響があったと回答しています。

■マインドフルネスの実践方法

今回はマインドフルネスを実践する中でも特に「瞑想」にフォーカスします。
「実践」と言っても、前項で述べたとおりに誰でもできる簡単なことなので、気軽にやりましょう!
基本的には3ステップです。

①姿勢を正し②呼吸を整え③呼吸を意識する。たったこれだけです。

①姿勢を正す
立っていても座っていてもどちらでも大丈夫です。
大事なことは骨盤を起こすこと。
普段は猫背なあなたも、骨盤をまっすぐ立てることを意識して背筋を伸ばしましょう。その時に併せて体が一番安定する「体の中心」を探してみてください。
その後は、背中の力→肩の力→首の力→顔の力と徐々に力を抜いていきましょう。目は軽く閉じておくとより集中できます。

②呼吸を整える
ゆっくりと、自分にとって気持ちのいい呼吸で心を落ち着かせていきます。最初は秒数を決めて吸って吐くを繰り返しても構いません。
大事なことは「ただただ繰り返される呼吸に集中する」ことです。
雑念を切り離し、自らに集中するために呼吸に意識を向けます。
途中で雑念が入ってくることもありますが、その時はまた呼吸に意識を戻す。それをひたすら繰り返していきます。

③呼吸を意識する
呼吸を意識するといっても、どう集中していいか難しいかもしれません。
そんな時は、体の中の空気の流れに意識を向けてみると意識しやすいです。
考え方のコツとしては、鼻から吸った空気が喉を通り肺に入り、また肺から出ていく流れをイメージしたり、呼吸に合わせて肺が膨らんだり縮んだりしたり、体が動くイメージを持つと呼吸にうまく集中することが出来ます。

マインドフルネスを行う目的は脳や心をリラックスさせ、精神を集中・落ち着かせることです。
気軽に行うものなので、時間は1日5分程度で大丈夫です。
慣れてきたら更に長時間取り組んでも構いません。場所や時間を選ばないので、あなた自身のライフスタイルに合わせて行ってみましょう。

マインドフルネスとエンゲージメントの関わり

今回紹介した「エンゲージメント」と「マインドフルネス」ですが、この2つは密接に関わり合っています。
先程、エンゲージメントを高める事によるメリットをいくつか紹介しましたが、このエンゲージメントを高める過程において、マインドフルネスはその手助けをしてくれるのです。

一般的に、エンゲージメントを高める方法としては、
①個人と企業のビジョンや目標のすり合わせ
②ワークライフバランスの推進
③社内コミュニケーション活性化
④人事評価制度の構築
などが挙げられます。

特に①や③など人と人とが密接に関わる部分では、日々緊張が発生したりうまく行かないこともあるかもしれません。
退職理由の本音として、1番に挙げられるのは断トツで「人間関係」です。
上司と反りが合わない、先輩後輩とうまくいかないなど理由は様々ですが、そんな時に効果を発揮するのがマインドフルネスです。

マインドフルネスによる効果として、集中力が高まる・浄化されストレスが解消される・洞察力、直観力、創造力が高まる・よく眠れるようになるなどがあるとされています。
1日5分のマインドフルネスの時間を持つだけで、日々の緊張を解きコミュニケーションも円滑に進められるようになります。
そうすることによって、エンゲージメントがより高まりやすくなるのです。

まとめ

「エンゲージメント(engagement)」とは、簡単に言うと「従業員の会社に対する愛着心や思い入れ」のこと。
高めることで組織の活発化、モチベーション向上、生産性向上、離職率の低下といったメリットがあります。

マインドフルネスとは、「今この瞬間”に集中している心のあり方」のこと。
集中力が高まる・浄化されストレスが解消される・洞察力、直観力、創造力が高まる・よく眠れるようになるといったメリットがあります。

マインドフルネスによって心の健康を整え、エンゲージエントを高める土壌を作る。
その土壌を用いてエンゲージメントをより高めるといった好循環が期待できるので、ぜひ皆さんも1日5分のマインドフルネスを実践し、自らエンゲージエントを高められる環境を作っていってください!

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